4. 伝統こけしの系統

東北で生まれたこけしには現在も東北全県で作られています。それらは産地、工人の師弟関係、構造、造形、形態、彩色などの違いで各系統に分類されています。これらはそれぞれ違った産地で作られていて父祖伝来の形態を守りその伝統を継承しています。

その系統は以下の10系統となっています。これらの系統の違いは収集家にとってみればとても魅力的なことです。

福島県の土湯温泉の土湯系
頭部には蛇の目の輪を描き、前髪と鬘の間にカセと呼ぶ赤い模様があり、胴の模様は線の組み合わせが主体

宮城県白石市の鎌先温泉近くで作られている弥治郎系
模様にろくろを使った美しい色調が特徴

宮城県蔵王町の遠刈田系
こけしの中でも最もひなびた感じを持つ

山形市および作並温泉の山形・作並系
頭頂に輪形の赤い飾りを描き、胴は上下のろくろ線の間に菊模様が描かれる

宮城県鳴子温泉の鳴子系
頭を回すとキッキッと鳴く「はめ込め」式で、胴が太く、安定感がある

山形県蔵王温泉、山形市、温海町などで作られる蔵王高湯系
青根、遠刈田系が蔵王温泉に移入されて変化し、胴が太く安定感がある

山形県肘折温泉、仙台市などで作られている肘折系
遠刈田系と鳴子系が混合して生まれた系統で、頭部が赤い放射線か黒頭で、胴はやや太く肩が張っている

秋田県木地山の木地山系
頭部には大きい前髪と鬘に、赤い放射線状の飾りを描く。胴は前垂れ模様が描かれている

岩手県花巻温泉の南部系
昔からあった「キナキナオボコ」と呼ばれるおしゃぶりの一種から発展したといわれ、頭が動くのと、描彩を施さないのが特徴

青森県温湯、大鰐温泉を中心に作られている津軽系
頭胴が一本作りの作りづけ式で、こけしとしての姿勢も新しい