8. 新型こけし誕生の背景

こけし誕生の時代背景

戦後新型こけしはどのように誕生したのでしょうか?敗戦による荒廃は日本全土におよび、東北地方も例外ではありませんでした。各地で復興にむけた産業が奨励されるなか、もともと伝統こけしや木地製品などの製造で木工ろくろの技術が確立していた東北地方では、その技術を応用できる新たな産業の開拓が望まれていました。

新型こけしのルーツ

そのような背景のなか、宮城県白石市で昭和21年頃より、虎屋という業者が伝統こけしとは異なるこけしの製造を始めました。このこけしは東京など大都市周辺の観光地や温泉場の土産物として注文が殺到し、瞬く間に広がっていきました。白石のこけし業者は昭和20年代前半には2件のみでしたが、昭和29年には50件にまで増加しました。
その後新型こけしの制作は全国に広まり特に群馬県前橋市周辺、神奈川県小田原市周辺、山形県米沢市などでも盛んに作られるようになりましたが、そのルーツは白石ということになります。