5. こけしの起源

こけしの起源になったものは一体何でしょうか。これには多くの説があってはっきりとしたことはわかっていません。木地師が子供のために作った手製人形から転化したとする「玩具起源説」、オシャブリから無彩のキナキナを経て目鼻がついたこけしに成ったという「育児用具転化説」、オシラ様から転化したとする「民間信仰呪物説」、小正月の子祝棒が形を変えたとする「縁起物転化説」、山稼人が山の神に奉る鉈割人形から転化したとする「山中三助様説」、「北海道のニポポから転化した説」など諸説あります。

またこけしの系統ごとにその祖型が異なっていたという考え方もできます。たとえば土湯系の場合、土湯の木地師が天保年間に伊勢参宮をした折に、上方で見聞した木地玩具からヒントをえて、帰郷後、でこ(こけし)を考案したのが最初とされています。また鳴子系では、温泉神社の神主をしていた早坂某が伊勢参りをして、どこかで木づくりの人形を買って帰り、これを見本につくられた小さい人形が祖型となってこけしを作って売ったのが始まりと言われています。また花巻系はキナキナが祖型と言われていて、このようにこけしには複数の起源があったとも考えられています。